奇跡を起こした12の月光




「なぁ、それってもしかして母さんたちも知ってる…?」



「もちろん」



彼ははぁ〜と深いため息をついた。



そして頭を抱えてしまっている。



でも、そこまで負の感情はないみたいだ。



だって彼の周りに少し嬉しそうな雰囲気が漂っているし、ほんの少しだけ水無月くんが嬉しそう。



何故かしら?



ていうか、言葉と行動違いすぎないかしら?



なんなのよ…ほんとに。



「……あっ、そうだ。音川さんが俺の婚約者候補ってことは…」



急に水無月くんが立ち上がって私の前へと歩いてきた。



え?何…?



水無月くんが近付いてくる代わりに私が後ずさりする。



そんなことをしても、建物の中なので終わりは来る。



とうとう私は壁へとついてしまった。



これは本格的にやばい…!



危険信号がバンバンなっている。



「ねぇ、音川さん。婚約者なら名前で呼び会おうよ。」



私は水無月くんに壁ドンされながら上から見下ろされている。



「なんでよ…まだ婚約者ではないわ。あくまで婚約者候補よ。」



私は逃げられないためキッと彼を睨みながら言葉を返していた。



「それでも、音川さんは絶対俺の婚約者になるよ。」



どこからそんな自信が湧いてくるのよ…。



「…ならないわよ。だから名前でも呼ばないわ。」



「……弥生」



心臓がドクンとなった。