「なぁ、それってもしかして母さんたちも知ってる…?」
「もちろん」
彼ははぁ〜と深いため息をついた。
そして頭を抱えてしまっている。
でも、そこまで負の感情はないみたいだ。
だって彼の周りに少し嬉しそうな雰囲気が漂っているし、ほんの少しだけ水無月くんが嬉しそう。
何故かしら?
ていうか、言葉と行動違いすぎないかしら?
なんなのよ…ほんとに。
「……あっ、そうだ。音川さんが俺の婚約者候補ってことは…」
急に水無月くんが立ち上がって私の前へと歩いてきた。
え?何…?
水無月くんが近付いてくる代わりに私が後ずさりする。
そんなことをしても、建物の中なので終わりは来る。
とうとう私は壁へとついてしまった。
これは本格的にやばい…!
危険信号がバンバンなっている。
「ねぇ、音川さん。婚約者なら名前で呼び会おうよ。」
私は水無月くんに壁ドンされながら上から見下ろされている。
「なんでよ…まだ婚約者ではないわ。あくまで婚約者候補よ。」
私は逃げられないためキッと彼を睨みながら言葉を返していた。
「それでも、音川さんは絶対俺の婚約者になるよ。」
どこからそんな自信が湧いてくるのよ…。
「…ならないわよ。だから名前でも呼ばないわ。」
「……弥生」
心臓がドクンとなった。
