その時、ドアをノックする音が聞こえた。
こんな時間に誰だろう…。
もうみんな寝てると思っていたわ。
微かな魔力を感じた。
これは…なんのようなのかしら…?
もう、聞かれたことは答えたし、なにがあとあるのだろうか。
「…はい。」
返事すると同時に部屋のドアが開いた。
案の定水無月くんだ。
「良かった。まだ起きてた。」
「なんの用?もう、私に何も用事ないと思うんだけど…?」
なにか急ぎのようでもあるのかしら?
だってこんな時間に何も無いのに来るわけないわ。
今はちょうど12時を回ったところ。
「ねぇ…音川さん。」
音川さんって呼んでくれるのね。
良かったわ。
どっちで呼んでくるのかわからなかったから。
「何?」
「春花弥生が音川さんなら、音川さんって俺の婚約者候補だよね?」
…?!
そのことをすっかり忘れていたわ!
やばい…
どうしましょう…?
さらに追い打ちをかけるように水無月くんは言った。
「父さんたちが言ってた。【春花弥生さんがあなたの婚約者候補だ。苗字から分かると思うが、現国王様の娘さんだ。】ってね。これに当てはまるの音川さんしか居ないよね?」
ギクッ…
あ〜ぁ、バレちゃった。
「……そうよ。」
私は仕方がなく頷いた。
「ねぇ、もしかしてだけど、音川さん俺が婚約者候補だって知ってた?」
「えぇ、水無月くんが何者かわかった時くらいから。」
私が正直に答えると、だよな〜と水無月くんが声を漏らした。
