奇跡を起こした12の月光




その時、ドアをノックする音が聞こえた。



こんな時間に誰だろう…。



もうみんな寝てると思っていたわ。



微かな魔力を感じた。



これは…なんのようなのかしら…?



もう、聞かれたことは答えたし、なにがあとあるのだろうか。



「…はい。」



返事すると同時に部屋のドアが開いた。



案の定水無月くんだ。



「良かった。まだ起きてた。」



「なんの用?もう、私に何も用事ないと思うんだけど…?」



なにか急ぎのようでもあるのかしら?



だってこんな時間に何も無いのに来るわけないわ。



今はちょうど12時を回ったところ。



「ねぇ…音川さん。」



音川さんって呼んでくれるのね。



良かったわ。



どっちで呼んでくるのかわからなかったから。



「何?」



「春花弥生が音川さんなら、音川さんって俺の婚約者候補だよね?」



…?!


そのことをすっかり忘れていたわ!



やばい…



どうしましょう…?



さらに追い打ちをかけるように水無月くんは言った。



「父さんたちが言ってた。【春花弥生さんがあなたの婚約者候補だ。苗字から分かると思うが、現国王様の娘さんだ。】ってね。これに当てはまるの音川さんしか居ないよね?」



ギクッ…



あ〜ぁ、バレちゃった。



「……そうよ。」



私は仕方がなく頷いた。



「ねぇ、もしかしてだけど、音川さん俺が婚約者候補だって知ってた?」



「えぇ、水無月くんが何者かわかった時くらいから。」



私が正直に答えると、だよな〜と水無月くんが声を漏らした。