奇跡を起こした12の月光




「弥生…?…入るわよ。」



そういうと葉月が入ってきた。



「…?!弥生…?目が覚めたの…?!」



急に葉月が私に抱きついてきた。



ずっと見ていてくれていたのかしら?



それだったら申し訳ないわ。



「えぇ、ついさっき…」



「良かった〜…!!」



葉月は私に抱きついたまま泣き出してしまった。



心配してくれていたんだ…



私は心が暖かくなるような気がした。



「ねぇ、ひとつ聞いてもいいかしら?」



「もちろん!なんでも聞いてよ。」



私は、ここに誰が連れてきてくれたのか、それと、いつここに帰ってきたのかを聞いた。



「もう今午後7時だから、ざっと6時間前くらいかしら?愛斗が弥生を、愛が桜を、ここへ連れてきてくれたのよ?」



そうだったの?!



あの、水無月くんが?



信じられないわ。



でも、あの時の柑橘系の匂い…確かに嗅いだことあるような匂いだった。



「愛斗呼んでこようか?お礼、したいんじゃない?」



葉月にはお見通しか…



嫌な人とはいえ、私たちを助けてくれた一応恩人だ。



お礼は言わないとね。



「じゃあ、お願いします。」



「えぇ、ちょっとまっててね!」



葉月は優しい笑みを見せて、水無月くんを呼びに行ってくれた。