~弥生side~
「…ん……」
ここは…?
あっ、私の部屋か…。
確か魔物を倒したあと、何かにふわりと抱きしめられた感じがした…。
爽やかな柑橘系の匂い…あの時ふと感じた。
誰だったんだろう…。
でも、限られてくるわよね。
そうだわ!
桜は?!大丈夫かしら?
私は起き上がろうとしたけど、起き上がれそうもないので、首だけを動かして、部屋を見渡した。
確かにこの部屋から桜の魔力をほんの少し感じるのよ。
「……いた。」
私は、もう一度挑戦してみた。
次は腕で体を支えたら起き上がれた。
私は急いで桜の元へとかけていった。
「…良かった。ただ眠っているだけね。桜、ほんとにごめんなさい…私が……私が……ッ…」
私は眠っている桜を見ながら涙を流した。
私がもっとしっかりしていれば…
私が倒れなければ…
私が…!!
後悔ばかりが浮かんでくる。
今更遅いのに…。
「…ッ……ごめん…ほんとに…ごめんね…。」
すると、僅かに人の気配がした。
こっちに近づいてくる。
私は急いで涙を拭って、泣いたことが分からないよう隠した。
しばらくして、コンコンとノックの音が聞こえた。
