奇跡を起こした12の月光





~弥生side~



「…ん……」



ここは…?



あっ、私の部屋か…。



確か魔物を倒したあと、何かにふわりと抱きしめられた感じがした…。



爽やかな柑橘系の匂い…あの時ふと感じた。



誰だったんだろう…。



でも、限られてくるわよね。



そうだわ!



桜は?!大丈夫かしら?



私は起き上がろうとしたけど、起き上がれそうもないので、首だけを動かして、部屋を見渡した。



確かにこの部屋から桜の魔力をほんの少し感じるのよ。



「……いた。」



私は、もう一度挑戦してみた。



次は腕で体を支えたら起き上がれた。



私は急いで桜の元へとかけていった。



「…良かった。ただ眠っているだけね。桜、ほんとにごめんなさい…私が……私が……ッ…」



私は眠っている桜を見ながら涙を流した。



私がもっとしっかりしていれば…



私が倒れなければ…



私が…!!



後悔ばかりが浮かんでくる。



今更遅いのに…。



「…ッ……ごめん…ほんとに…ごめんね…。」



すると、僅かに人の気配がした。



こっちに近づいてくる。



私は急いで涙を拭って、泣いたことが分からないよう隠した。



しばらくして、コンコンとノックの音が聞こえた。