数ヶ月が過ぎた頃。
放課後、教室に1人で絵を描く。
何を描こうかな……
無意識に手が動く。
気づいたら
あ、竜也 、、
私は無意識に竜也を描いていた。
勉強を教えてくれた、竜也の横顔。
自転車の後ろに乗った、竜也の後ろ姿。
ちょっと、イケメンに描きすぎ?
いや、本物はもっとイケメンだ……
竜也のこと、ずっと見てたもん。
こんなに上手く描けて。当たり前だよね。
想う気持ちは誰よりも強かったよ。
誰よりも、竜也のいい所知ってたよ。。
「 お、うまいじゃん 」
急に後ろから話しかけられる。
誰か、なんて、すぐにわかった。
ずっとあの声を聞きたかったから。
振り向けば、竜也がいた。
「 もしかして俺描いてたの? 」
バレちゃってる。
こんな恥ずかしいことある?
「 自惚れないでよ。
なんで竜也のこと私が描くの… 」
「 ふふ、そうだよな 」
私の大好きな笑顔。
どれくらいぶりに話しただろう。
ぎこちない雰囲気が流れる。
「 やっぱり、今の真凜ちゃんが好き 」
「 え……?? 」
「 真凜ちゃんが辛い時に、
俺はなにもできなくてごめん。
助けられなくてごめん。 」
「 竜也…… 」
「 でも、ずっと心配だった。
何故か俺が苦しくなって、
涙が止まらなかった。
俺にとって、真凜ちゃんが
大切なのには変わりないんだ。 」
大好きな人から、そう言われたら
誰だって嬉しいに決まってる。
ありがとう。
そんな言葉、十分くらい幸せだよ。
「 全部嘘だよ 」
「 え…?」
「竜也のことが好きって言うのも、
変な噂もぜーんぶ嘘!」
「 え??そうなの!? 」
「 ちょっとビックリさせたかっただけ! 」
「 めっちゃビックリしたよ!! 」
「 ふふ♡ならよかった♡ 」
「 でも、安心した。 」
「 え……? 」
「 真凜ちゃんがあんなこと
するような子じゃないって思ってたから 」
嘘、上手くつけてるかな?
竜也に、見破られてないかな?
竜也とまた仲良く話せるようになるには、
色々と自分が我慢をしなきゃいけない。
そう考える時点で、私の負け。
「 真凜ちゃん、妹みたい 」
ふふっ、私は竜也にとって
1人の女性としても見られてないんだね。
竜也の1つ1つの言葉に
傷つき、喜ぶんだよ。
「 私も、竜也は親戚のおじさんみたい 」
ちょっとムカついたから
おじさんって言ってやった。
「 え?お兄ちゃんじゃなくて?
やっぱり真凜ちゃんおもしろいな 」
ほら、平気で嘘つけるようになる。
竜也が笑顔で居てくれるなら、
そんな嘘も悪いことじゃないのかも。
竜也に、偽った自分を
好いてもらいたいのに必死な私。
ふふっ、もう笑っちゃう。
こんなダサいことある?
ねえ、いつか、気づいて。
私が嘘をついていたこと。
私が嘘をつく度傷ついていたこと。
今でも私は竜也が好きなこと。
引くに引けないくらい竜也に夢中なこと。
恋の神様、
もし本当にいるのなら、
竜也に伝えてください。
本当の私に気づいてくださいと。


