「ただいま」
梢が店に戻ってきたのは、あれから二時間後のことだった。
喫茶店で待っていた雅哉は慌てて立ち上がった。
「真戸華!?」
「雅哉さん・・・」
梢はしばらく沈黙した後、口を開いた。
「真戸華さんが・・・いなくなりました」
「えっ・・・どういうこと?」
「私の中からいなくなったんです」
雅哉は絶句した。
まさか―――真戸華が?
信じられない。
さっき、梢の身体を奪うと言っていたのに・・・
成仏してしまったのだろうか?
それとも、自分で梢の身体から抜け出したのか?
分からない・・・
雅哉はドサッと椅子に座りこんだ。
でも・・・
「これでよかったんだ。これで・・・」


