「ねぇ、観月くん。お昼一緒にどう?」


休憩のベルと同時に、平井友江(ひらいともえ)は雅哉の肩を叩いた。


友江は社内一美人と有名の女。


しかし、この会社に勤め始めてから一度も、恋人を作ったことはなかった。


その理由は社内の誰もが知っている。


―――雅哉に恋しているのだ。


しかし、雅哉の隣にはいつも真戸華がいた。



「美味しいお蕎麦屋さん出来たの。行ってみない?」


真戸華が死んでからというもの、毎日のように雅哉に声をかけている。


しかし、雅哉の心の中には未だに真戸華が住みついているようだった。