「やあ」



雅哉は店に入るなり、梢の肩をポンと叩いた。



「あ、雅哉さん」



梢は笑顔をみせた。



「今日は一段と早いですね」



「まーね。―――真戸華は?」



と、雅哉はオーナーに向かって訊いた。



「今日はまだ出てきてませんよ」



「・・・そうか」



雅哉の顔が、陰をさしたように曇っていく。



そんな雅哉を見て、梢は胸を痛めていた。



私じゃあ、この人を救えないのかな・・・?