あたしたちは慌てて口をつぐむと、じっと耳をすませる。


 すーっ、すーっ


 近づいてくるその音は、廊下に反響してどこから聞こえているのかわからない。


「……」


 無言で玉緒が職員室の後ろの扉を指差すと、音を立てないように慎重に動き出す。


 あたしがその後ろについていこうとすると、


「……っ!」


 大げさに首を横に振ると、あたしの目を見て職員室の前の扉を指差した。


 ……なるほど。二手に分かれて、どちらかだけでも生き残ろうってことね。