防戦一方。風を感じとっさに頭を反らすと、あたしの頭があったところにカミサマの鋭い爪が刺さっている。


 それでも何とかあたしの命が持っているのは、カミサマが単調に首元への突きを繰り返すばかりだったから。


 なのに。


 瞬間。今までと同じく首元へと向かっていたカミサマの爪先が突然方向を変えたと思うと、あたしの目の直前に迫っていた。


 ――瞬きが落ちる。


 やけに緩慢なその動きで、あたしは自身の目に近づいてくるカミサマの爪先を、どこか他人事のように見ていた。