はっとして振り向くと、「参」のカミサマが目前に迫っていた。


 緑の着物を振りかぶり、鋭い爪をあたしの首めがけて突き出そうとしている。


「――っ!」


 間一髪。爪を避けたあたしの首に、つーっと赤い線が入る。


 こうして向き合ってみると、「参」のカミサマはあたしより小柄だった。


 だけどその体からは考えられないスピードとパワーで、ひたすらにあたしの首を狙ってくる。


 あたしの鈍った動体視力では、その動きを読み取るのはとてもじゃないけど無理だった。