美依は赤い着物のカミサマと、激しく戦ったらしかった。


 美依の体からとめどなく流れる血に紛れ、カミサマのずたずたになった着物の切れ端がいくつも落ちている。


 カミサマは殺しのプロだ。


 殺せる相手をいたぶって殺す、なんてえげつない趣味はない。だから殺すときは一瞬で首をちょん切ってくれる。


 だけど美依の死体はそうはなっていなかった。自分が痛みを背負っても、少しでも時間稼ぎをしてくれたんだろう。美依の背中も腹も、傷のついていないところはないくらいだった。