目を覚ましたあたしがいたのは、あの3年1組の教室だった。


「ん……」


 重い体を無理やり持ち上げると、同時に隣で倒れていた玉緒と遥も起き上がってくる。


 でも。


「美依は……美依はどこ!?」


 あたしたちのそばにいたはずの、彼女の姿はどこにもない。


 混乱の中で必死に美依を探すあたしに、玉緒が近づいてくる。


「美依は奪われちゃったんだよ」


 その手には、またも左手の小指が。


 薄いピンクの整えられた綺麗な爪は、間違いない。あたしの右手を何度も握った指だった。腰が抜けたあたしの背中を、力強く押した指だった。