「カミサマは和紙の隙間を通した狭い視界で見てるから目はめちゃくちゃ悪いの。でもその代わり、耳がすごくいい。


 私たちのちょっとした呼吸音も捉えて捕まえにくる。わかったら早くトイレの個室に隠れて!」


 あたしたちが何とか隠れると同時に、トイレの扉を開ける音が聞こえた。


 すーっ、すーっと着物を床に擦る音もする。


 カミサマは、音に敏感。


 あたしは息を止め、震えも殺してただ時が過ぎるのを待つ。


 お願い。気づかないで――!


 だけど、そんなに簡単にはいかなかった――。