走る速度はカミサマの方が圧倒的に速かった。


 このまま階段を降りれば、途中で追いつかれてしまう……。


 そう考えたあたしは、無謀だとわかっていながら狭いトイレに玉緒と2人で身を潜める決断をした。


 その決断に玉緒は予想通り怒ったが、今更追い出せないと思ったのか黙って廊下に続くトイレの扉を見つめ始める。


「……玉緒」


 不安に駆られたあたしが服の裾を引くと、


「しっ!」


 ときつい表情で黙らせた。