「はやく逃げて!!!」


 美依が乱暴に音楽家の扉を閉め、完全に隔離される。


 ただ、走るしかなかった。


 音楽室におそらくカミサマと思われる少女がいる。ってことは、校舎の他の場所は安全ってことだ。


 美依は鍵も閉めてくれていた。あわよくば、そのまま音楽室に閉じ込められていてほしい――。


 だけど、そんな些細な希望もすぐに打ち砕かれた。


「――新菜!? はやく逃げて!!」


 廊下の向こうから走ってきていたのは、1階を探しているはずの玉緒だった。


 少し遅れて遥もついてきている。