葬式には何度か参列したことがあるけど、やはり何度見ても黒一色に身を包んだ集団が行列を作っている様は異様だった。


 千帆の家は三國町では有名な地主さんの家なので、葬式も豪勢に行われた。


 町中みんなが来てるんじゃないかってくらい多くの人が神妙な顔つきをして、「ご愁傷様です」とごにょごにょ言うもんだから、不謹慎とはわかっているけど少し面白くなってしまう。


 葬式には見知った顔も大勢来ていた。


 千帆と同じく小学生の頃に仲が良かった(というか、家が近かったので必然的に仲良くさせられていた)1つ年上のぶりっ子先輩は、今日も男連れで参列している。


 大人しかったあの子は、耳にピアスをバチバチに開けてちょっとしたギャルみたいになっていた。


 学校で1番の美人だと噂されていたあの子は、幸薄そうな美しい顔立ちはそのまま、歳を重ねて妖艶になっているようだ。なんて。


 あの子も同級生。つまり高校2年生なわけで、「妖艶」なんてそんな言葉、使う方が間違っているけど。