聞こえたのはこの世のものとは思えない、地獄から響いてくるような低い声の集まりだった。


 空気が一瞬にして澱んだものに変わり、明るくあたしたちを照らしていた電灯が一つ、また一つと消えていく。


 あっという間に、あたしたちの姿を浮かび上がらせるのは歪んだ月明かりだけとなった。


「ひっ」


 怯えるあたしを尻目に、美依はぎゅっと唇を結ぶとまた歌い始める。


「勝〜って嬉しいはないちもんめ」


『負け〜て悔しいはないちもんめ』


「あの子がほしい」


『あの子じゃわからん』


「相談しましょ」


『そうしましょ』