「……い、いや無理だって。帰りたい!」


 そう言いながらも、あたしの足は何故か校舎の入り口へ1歩、また1歩と踏み出していた。


 そういえば、美依はあまりの美しさから、中学時代魔女と呼ばれて恐れられていたこともあったっけ。


 みんなは正しかった。この女は本物の魔女だ――!


 魔女狩りさん、ここですー! と心の中で叫ぶあたしに向かって、美依がにっこり微笑んで見せる。


「私は魔女じゃないわよ」


 心を読まれた……! やっぱり魔女だー!


 とある夏の日の夜、魔女に囚われたかわいそうなあたしは、カミサマとやらが待つという校舎の中へ吸い込まれていった。


 ◇