オババがいつか言っていた。


 生者に定数があるように、死者にも定数があるんだよ。


 それなら死者になれなかった偽物の子は、天国に椅子は用意されてないのかな? なんて。


 死者の偽物? 我ながら面白い発想だ。


 でもどうか。どうか偽物がいるのなら、その人たちにも席がありますように。


 そう願うあたしの頰を、柔らかな風が撫でていった。