早くしなきゃ。早くしなきゃ。


 世界が終わってしまう。


 早くも3年1組の床には、美依らしき人の足元が現れていた。


 その顔を見たら……あたしは、もう二度と別れられなくなってしまう。


 教室を飛び出し急いで家庭科室に向かう。


 そこには前回のゲームで玉緒が握りしめていた包丁が、変わらない姿のまま収められていた。


 もう世界は終わりに近かった。この世界が終われば、光希が生き玉緒が死んでいる新たな世界が始まるだけだと体がわかっていた。


 生者と死者の数が合うというのはそういうことだ。世界に不都合がなくなるというのはそういうことだ。


 だけどそれではいけなかった。


 あたしは震える手で、それでもしっかりと包丁を握りしめる。


 どうか、どうかカミサマ――!


 ◇