裏はないちもんめ〜禁じられた少女たちの遊び〜

　男の子の掲げた手の元に、現れたのは黄色い着物だった。


　「黄色のカミサマ」


　玉緒が意識を失う直前に残した言葉が、はっきりと思い出される。


　黄色のカミサマは、他のカミサマのように数字の書いた和紙すら貼っていなかった。それをあたしが気にしていることに気づいたのか、男の子が愉快そうに答える。


「僕はキョンシーのお札を思い出すんだけど。これって大事なものらしいねぇ」


　カミサマの顔には、和紙が無理やり剥がされた跡があった。


　額から頬にかけて大きく裂けるような傷が顔中張り巡らされており、その白目はじゅくじゅくと腫れて真っ赤に染まっている。


　ざっくばらんに切られた髪は針のように痛んで、まるであたしを突き刺し殺そうとしているみたいだ。


　明らかに異常だ。


　顔から身体から流れる血をそのままに、カミサマは一直線にあたしに向かってくる。