裏はないちもんめ〜禁じられた少女たちの遊び〜

 ……見てはいけない。


 脳内に鳴り響く黄色信号を無視して、あたしは震える手を画用紙に伸ばした。


 積もりに積もったほこりが音もなく空気中に漂う。


 ボロボロに破り捨てられた画用紙は、それでもパズルのピースのように欠けたところを補い合って1枚の紙となる。


【小森新菜ちゃんへ

 天国でも元気にしていてください

 みくに第一小学校3年1組のみんなより】


 小学生レベルの漢字で書かれたそれはあたしの文章力で十分に読めるのに、脳が理解することを拒む。


 身体が拒絶反応を示して、あたしは空っぽの胃からせり上がってくる胃酸を吐き出すことしかできなかった。