「そんなのダメだよ……っ」


 慌てて止める。美依を助けるために遥が犠牲になるなんて、そんなことあってはならない。


 ただ、遥がこのまま美依を助けに行って2人とも無事で帰ってきてくれないかな、なんて甘い考えが頭をよぎったのは事実だ。


 そんなあたしの頭の中を見透かすように、遥はくすりと笑った。


「大丈夫だよ。これでもあたし、強いから」


 そう言って遥は掃除用具入れの中のモップを取り出すと、ぶんぶんと2、3回振り回してみせる。


「……これでも高校の(かしら)やってんだ」