「新菜!? 何でここに……」


 整理整頓されていたはずの職員室は、何もかもを放り出され随分と荒れている。


 その中心にいたのは遥だった。


 色落ちして金色に近くなった髪が、戸惑うように揺れる。


 ゲームを始める前の話し合いで、遥が1人保健室を探しにいくことは知っていた。だからここに来たのだけれど、遥が求めている答えはそれではないだろう。


「オババの家から出てきたとき、遥、あたしに何か言いたそうにしてたよね? あれ、気になっちゃって……」


 正直に答えると、遥は


「うん……」


 と視線を逸らした。その顔には困惑がありありと表れている。