そのとき。


 ピピピピ、ピピピピ――!


 廊下いっぱいに、スマホのアラームの音が鳴り響いた。


 はっとそちらを向いたカミサマが、しばし逡巡したあと着物を振り乱すとあたしのそばを離れていく。


 ――助かった?


 とにかく、職員室を離れない手はなかった。


 おそらくあのアラームは、玉緒が鳴らしてくれたものだろう。


「1回目のとき助けてもらった恩は返したからね!」


 なんてツンデレな声が聞こえてきそうだ。


 虎の子のスマホを使って玉緒が作ってくれた貴重な時間に、少しでも遠くへ。


 あたしが向かったのは1階の保健室だった。