strawberry-あなたとの思い出-


はぁ~、一人ってだけでこんなに不安で寂しいものなんだな。

みな、大丈夫かな。

帰るのめんどくさいな。
あの人に会えたりしないかな。

駐輪場まで行き、重たい体を動かしながらそんなことを考えているとどんどん体が重くなってくる。

めんどくさい。

仕方ない。帰るか!うだうだ考えても仕方ないしな。

自転車にまたがり昇降口を出ようとしたその時ガタガタッと自転車が嫌な音をたてる。

嘘でしょ!中学校から愛用の私の自転車のタイヤが悲鳴をあげ、パンクしたようだ。

後輪が一定のテンポでガタッとはねている。

ここから家までどれだけかかると思っているんだ…

どうしよう。

ショボくれていると

ポンポンッと肩を叩かれた。

「大丈夫?」

振り替えると彼が立っていた。

「あ、」

「どうかした?」

「自転車が…」

と言うと彼は私の自転車へと目を移し、ペッタンコになっているタイヤをみて全てを悟ったようだった。

「これは、さすがに難しいな…
家ってどの辺?親に迎えに来てもらえたりしそう?」

「家は桜町のほう。親はこの時間まだ仕事だから…
ごめんね、こんなことに巻き込んじゃって!何とかするよ」

これ以上迷惑はかけられない。

「桜町!ここから結構距離あるよね。
こういう時は人を頼らないと!」

なんて優しいんだ。
知り合ってほんの2,3日の私に

「ありがとう」

口から自然と笑みがこぼれる。

ふぃっと目をそらした彼は少し考えたあと

「俺の家帰る時に桜町の方まで行くんで、一緒に帰りませんか?」

「本当!よろしくお願いします。家はどの辺なの?」

嬉しくて仕方なかった。正直一人で帰りたくはなかった。

「えっと、緑坂です。」

「けっこう近所だったんだね!」

「ほんとに、驚きました。」

「また、敬語に戻ってるよ?」

「あれ?本当だ!」

また、二人でクスクス笑う。

幸せだ。
こうやってくだらない話が出来るだけで気持ちが明るくなってくる。



「自転車どうする?」

「うーん、自転車屋に持っていったほうがいいのかな?」

「この辺に自転車屋があるか検索してみようか。」



「ないね…」

「うん」

「学校に置いて帰るよ」

「わかった。じゃあ、帰ろうか。」

「うん!」

会えたりしないかな。なんて考えていたらそれ以上に幸せな状況になっている。
巻き込んでしまって申し訳ないけど、正直嬉しくて嬉しくて仕方がない。

彼は自転車を押しながらさりげなく車道側を歩いてくれている。