strawberry-あなたとの思い出-



頭が痛い…



ここはどこだろう。



「あ、気がついた?あなた倒れて保健室に運ばれたのよ。」



養護教諭の先生らしき人が教えてくれる。


「大丈夫?どこか痛いところとかない?」



おっとりしていて安心感のある声だ。


「はい。大丈夫です。」


頭痛はだんだん和らいでいたし、黙っておくことにした。


「そう?よかった。」


たんぽぽみたいな笑顔でホッとしたように微笑んでいる。


失礼かもしれないけどなんだか可愛い先生だ。



「深山君と沙原さんがつれてきてくれたのよ。」



深山君?誰だろう…


あの隣から声をかけてくれてた子かな?


「後でお礼をいっておきます。」


「それがいいわ。次の授業まで30分はあるけらもう少し寝ておきなさい。」



「そうします。」



昨日緊張であまり寝られていなかったのと、極度の緊張が重なって貧血を引き起こしたらしい。


ベッドに横になるとあっと言う間に眠りについた。


キーンコーンカーンコーン


チャイムの音で目が覚めた。


どうやら授業の終わりのチャイムらしい。


「先生。」


返事がない。


どうやらどこかに行ってしまったらしい。


今は何時間目なんだろう?


黙って戻っていいのだろうか…


ガラガラッ


保健室のドアを開けて誰かが入ってきた。


おそらく先生だろう。


先生!


そう声をかけようと思ったら、

「先生おられますか?」


少し低くて、でもはっきりしたこの声は…



ベッドにつけられているカーテンをそっと開けて出てみると、やっぱりそうだ。


「あれ?どうされたんですか?」


彼のほうから気づいて声をかけてくれる。


「貧血を起こしてしまいまして…
今、先生はおられないみたいですよ。」


「貧血?大丈夫ですか?」


「はい。あなたは?どうされたんですか?」



「それが、プリントで指を切ってしまって…ちょうど絆創膏も切らしてしまってたんです。」


少し苦笑いしながらそう言った。



『あの』


「フフフッ」

つい、笑ってしまった。


「またかぶっしまいましたね。」


二人で笑いあった。


彼と話しているとなんだか、ぽかぽかして暖かい気持ちになる。


「えっと、これも何かの縁だと思うので友達になってもらえませんか?」


私が思っていたのと同じ事を言ってくれた。


「はい!ぜひ」


ほわほわする。


春の陽気みたいな人だ。暖かくて、周りを柔らかい光で照らしてくれているみたいだ。



同級生だったので、敬語はなしにすることにして、連絡先を交換した。





ガラガラッ


「あら、もう起き上がっても大丈夫そう?ごめんなさいね、急に呼び出されてしまって…」



「はい!もう大丈夫です。」



「うん。顔色もいいし、戻ってもいいわよ。」



「ありがとうございました!」


そう言って保健室を出るときにこっそり小さく手を振ってくれているのが見えた。



振り返してみると、嬉しそうに目を細めている彼と目があった。



なんだか恥ずかしいような、嬉しいような不思議な気持ちになる。


教室に向かって歩いていると、今朝のみなの声が頭をよぎった。


「恋…なのかな。」


気づかないうちに口に出して呟いてしまっていて、自分で聞いて照れてしまう。


やばい、このままみなにあったらばれてしまう気がする。


自分でも頬が赤くなっているのが分かる。


会ってまだ2日目なのに、好きとかアリなのかな?


やっぱり、友達が出来て嬉しいだけかもしれない。



早とちりしてしまわないように、今はそう思うことにした。



教室に着くまでの間頬をおさえて冷やしたおかげで大分落ち着いた。


教室に入るやいなやみながすぐに見つけて走ってきた。


ガバッと抱きついて来て


「大丈夫?」


と心配そうな顔でこちらを覗いている。


「うん。貧血起こしちゃった。心配かけてごめんね?」


「本当だよ。すっごい心配したんだから!深山と沙原ちゃんに感謝だよ!」



「うん。みな、深山君ってどの人?顔覚えてなくて…」


「そっか!倒れたもんね。あそこの窓のとこで話してる中の1番右の人だよ。」


「あの人?ありがとう」


スラッと背が高くて落ち着いた雰囲気の人だ。


「もう大丈夫なの?」


かおるちゃんが声をかけてくれる。


「うん。ごめんね?運んでくれたんでしょ?ありがとう。」


「全然大丈夫だよ。私は付き添ってただけで優が運んでたし。でもちょっと妬けちゃうな~」


「優?深山君のこと?」


「そうそう。内緒にしてほしいんだけど、中学校の時から付き合ってんだ~。だから好きになっちゃダメだぞ!」


少し照れながらそう言ったかおるはとても可愛かった。


「そうなの!」


「しー!声大きい!」


「ごめんごめん。」


みなとかおるちゃんのやり取りを微笑ましく感じる。



こういう恋バナっていいな。



「ちょっと?おーい」


「うん!?」


「どっか行ってたし笑」



「うそ!」


「どこも見てない目をしてたよ笑」


「まだ体調悪い?」


「ううん。大丈夫、ありがとう」


2人に安心してほしくてマッスルポーズをとってみる。


「何それ~」


2人は楽しそうに笑ってくれたのでよかった。


「優呼んでくるね」


かおるちゃんはそう言って深山君のところへと行く。


その後ろ姿が嬉しそうで本当に好きなんだな。と感じさせる。


「まさか、もうカレカノがいるとはね~」


みなが楽しそうに言う。


「ほんとだね!中学校からとかラブラブだ。」


「幸せそうだね。」


深山君に話しかけたかおるちゃんはなんだか子犬みたいだ。


嬉しいがいっぱい飛んで見える。


「うん。すごく幸せそう。」



「するならああいう感じの恋愛がしたいよね。」


「うん。憧れる。」


パチッ


かおるちゃんがこちらを指差し、深山君と目が合う。


少し驚いたが軽く会釈する。


深山君はえっ、と言う感じの顔をほのかに見せたがすぐに元の顔に戻って軽く手をあげてくれた。


「プハッ!」


みなが横で吹いている。


「その誰にでも会釈するクセ早く直しなよ笑。同級生にぐらい手ー振りなって。」


「だって、クセってなかなか直らないんだもん。」


少しむくれながら言ってしまう。


「だって、じゃないでしょ!」


いつの間にか近くに来ていたかおるちゃんに言われてしまう。


「だって、って言ってるうちは成長出来ないよ~」


余計なお世話だよ。


その言葉が喉まででかかったがなんとか耐える。


耐えることが正しいとは限らないけど今は言うべきじゃない事ぐらいはわかる。


「今のはちょっと言い過ぎ。」


「ごめん。言い方がきつくなっちゃった…」


深山君が言いたかったことを言ってくれた。


「ううん、私も直さなきゃな~とは思ってるから。こういうクセすぐ作っちゃうんだ」


頭をかきながら言う。


「それすごいわかる!」


意外なことに深山君が食いついてきた。


「俺すぐにダルそうにしちゃうクセがあるんだよね…、実際はそこまでダルく思ってないのに態度に過剰にでちゃうんだよ。」


「それは誤解されそうだね。」



「そうなんだよ。」


「私も最初イライラしたよ~
でも、今は全然気にならない!
って、言いたいけど正直直してほしいな」


「…努力する。」



「出てるし!」


みなが突っ込みみんな吹いてしまう。


深山君だけ少しばつが悪そうだ。



「そう!深山君さっきはありがとう。助かりました。」


「いえいえ、肩かしただけだし
ていうか君とかいらないから、深山で」


「わかった。…ごめん、今何時間目?」


「そっか!寝てたんだっけ?今はお昼休みだよ!」


「私そんなに寝てたの!?」


「そうだよ。だから心配したっていってんじゃん!」


みなに怒られてしまった。


なんだかんだで話しが弾んだので、みな、かおるちゃん、深山、私の4人でご飯を食べることになった。


「どうする?このまま教室で食べる?」


みなが私の体調を気づかって提案してくれる。


「そうしよう!」


かおるちゃんも賛成してくれる。


かおるちゃんと私、深山(私の隣だった)の席が近いのでみながこっちに来て食べることになった。