「わあっ！ロネ、目を離しちゃダメだよ！焦がしちゃう！！」

「ええ〜！ちょっとだけだよ？」

魔法使いのロネ・ガランテはセイレーンのハーフであるナタリー・スカイラーに言われ、慌てて木苺を煮込んでいる鍋のもとへ戻る。その様子をパンケーキを焼きながら勇者の息子であるネイサン・サミュエルが見つめていた。

「ネイサン、そろそろひっくり返してもいいぞ」

ハーブティーを用意しているアテナ・イェーガーがそう言うと、「わかった」とネイサンはパンケーキをひっくり返す。ナタリーが目を輝かせ、ロネも「おいしそう！」と頰を緩ませた。

アテナの家がある禁じられた森で、ロネたちはおやつを自分たちで作っている最中だ。街では暗く重い噂が流れているため、その空気を一瞬でも忘れたいとロネが提案したのだ。

みんなで作るお菓子を決め、材料や調理器具を持ち寄っておやつ作りを始めた。一緒に作っていくうちにみんなの顔には笑顔が生まれていく。