…………詩織の葬儀を1人で担当した俺は、仕事を終えた瞬間に初めて涙を流した。





俺が押し殺してきた感情の存在を、詩織に気づかされたのだ。





好きな人の葬儀を担当するなんて、苦しくて、悲しくて、涙が溢れて止まらなかった。






昼下がりに詩織と散歩したあの時間を、俺は一生忘れることはないだろう。



そして、あの桜並木のトンネルで、桜の花びらが舞う季節を迎える度に、心がぎゅっと締め付けられる。





それでも、舞い散る桜の花びらを浴びながら、桜並木のトンネルを1人で歩く。






詩織の姿がそこにありそうな気がして、歩くのだ。







俺はきっと、こうしていつまでも詩織を想い続けるのだろう。