長沼さんの運転で、俺達はまず、病院に向かう。




病院なら、遺体の処置は看護師がやってくれて、そのまま霊安室に一時的に安置される。




でも今日の仕事は、イレギュラー中のイレギュラーだ。





何せ、亡くなったのは、14歳の女子中学生。

しかも、飛び降り自殺。




俺はいいとして、長沼さんのメンタルが心配だ。




この仕事をしていれば、どこかで今回のような案件に当たることが当然あるが、まだ新人の長沼さんは、今回初めてこのような経験を踏むのだ。




これでメンタルがやられて、辞めていく人なんてざらにいる。





「長沼さん、流れは通常の葬儀と変わりないので、あまり心配せずにいてくださいね。」




せめてもの気遣いの言葉を彼に送ると、「はい……。」という弱々しい返事が返ってきた。




しんどいだろうけど、これを乗り越えないとこの仕事はできない。