看護補助員として働き始めて三週間ほど。患者さんの検査の付き添いなどは一人で任されることも多くなった。

「早く一人前の看護補助員にならなくちゃね!」

先輩方は優しく、時に厳しく指導してくれる。仕事は大変だけどやりがいがあって楽しい。でも、最近ある意味困っていることが起きているんだ。それはーーー。

前田さんを泌尿器科まで送った後、私はエレベーターに乗って働く六階へ戻ろうとする。その時、「ちょっと待って!乗ります!」と言いながら男性の看護師さんが乗ってきた。

「幸野さん!おはようございます」

私の胸が高鳴る。そこには、イケメン看護師の幸野明(ゆきのあきら)さんがいた。この人が最近私のことを困らせている。

「花見さんは検査の付き添い?」

「はい。前田さんを泌尿器科に」

「そっか。俺もさっき内視鏡に送って行ったんだよね」

ここまではごく普通の会話。でも、気が付けば私と幸野さんの距離はグッと近くなっている。