田んぼに囲まれたのどかな場所にある八階建ての総合病院。ここが私、花見(はなみ)すぐりの職場。

「失礼します!ベッド周り拭かせてください」

朝の申し送りの後、私は病室のベッドを拭いて回る。これは、看護補助員の仕事だからね。

「タオル、新しいものに交換しますか?ゴミもよかったら捨てますよ」

「じゃあお願いしようかしら」

患者さんに笑顔でそう言われ、私はタオルを二枚受け取る。大きいバスタオルと小さなフェイスタオルだ。

「じゃあ、交換して来ますね」

「はい、お願いします」

患者さんにそう言い、病室を出る。新しいタオルを二枚取って病室に戻ろうとすると、先輩に話しかけられた。

「花見さん、そのタオルを置いてからでいいんだけど患者さんの検査に行ってくれないかな?六五室の前田さんなんだけど」

「わかりました!どこで検査をするんですか?」

「泌尿器科に送って」

「わかりました!泌尿器科ですね」

先輩の言葉をメモし、私はすぐに病室にタオルを置く。そしてすぐに前田さんのもとへと向かった。