次の日、看護師さんにもう大丈夫だと言って彼の家に行くことを伝えると、看護師さんは不思議そうな顔をして大丈夫なの?と言ったが彼に信頼があるようでこちらに任せてくれた。
「俺とくる気になったみたいだな。」
病院を出ると彼が待っていた。
大きなバイクの前で。
「うん。あ、あのさこんな遅くなっちゃったけど名前聞いてなかったなって。」

「あぁ?俺は桜木 航。」

「あ、私は…」

「知ってるよ。黒澤 佳凛だろ?」
なんで知ってるの?と問いたげなめで見ると、
昨日看護師さんに言ってたと答えてくれた。
あぁ、あの時のやつ覚えてたのか。

「これからどこ行くの?さすがにこんな見ず知らずの女じゃぁ、桜木くんの両親も迷惑なんじゃ…?」

「あ?大丈夫だ。俺に親はいねぇよ。一人暮らしだ。」

「えぇ?!あなた何歳?私より年上?」

「あぁ?高校1年だ。」

「えぇ?!同い年…」

「マジかよwお前。小6だろ」
そんなことないし!!と思ったけど、私は身長が150センチしかない。

「高一でーす!ちゃんと!!」

「でも俺より、20歳も歳上なんだよな…」
あっ。忘れてた。私ってなんなんだろう。
幽霊?でもこの人に見えてるし…

「まぁ、気にすんなよ。」

「うん…」

「よし。じゃあ、バイク乗れ。」
えぇ?これに乗るの?

「あの…私バイクとか乗ったことないんですけど?」

「あ?後ろに乗りゃいいんだよ。」
しかもこのバイク高いし、足をかける所もないし…と思っていると、ふっと体が浮いてバイクに乗せられた。

「うわぁぁ!」

「お前、重いな。早く自分で乗れるようになれよ?」

「ひどい!そんなに重くありません〜!」

「そうか?じゃ、出発すっからちゃんと掴まってろよ〜」

「うん。」
って、どこに捕まったらいいんだ?これ。
つかまるとこないじゃんか。

「ここだよ。」
と言って桜木は私の腕を自分のお腹に回す。
これは…うん。恥ずかしい。

「恥ずかしがってねぇで掴まんねぇと落ちるぞ?」
ああ!もう。
そんなこと言われたら怖いじゃん!
そう思って思いっきり彼のお腹に抱きついた。

「よし。でもくっつきすぎだな。胸当たってんぞ。」

「ちょっと!ちゃんと掴まってろよって言ったのはそっちじゃないの!」

「はいはいーいいよそのままで。じゃ、出発するぞー」

初めて乗るバイク。目の前には大きな背中。
横を見れば海。
あれ。今ちょっと楽しいな。
そんなことを生まれて初めて思った。

「着いたぞ。」
そう言われて降ろされたのはでっかい倉庫みたいなとこまるで暴走族のたまり場みたいな…

「あの?ここですか?」

「あ?あぁ。ここが俺のたまり場だ。」

「もしかしてあなた暴走族?」

「まぁな。」

「あ!航!昨日なんで来なかったん?」
そう言ってこちらに来るのは明らかに不良。
まぁ。顔はそこそこかっこいいけど、完全に不良!!

「あぁ。こいつが浜辺で倒れてっからよ。ずっと病院いた。」

「まじ?!お前が人助け…雪でも降るのか?いや、ただから昨日は豪だったのか!はは!で?その子は?なんで連れてきた?」

「あぁ。こいつはちょっとな。色んな事情、で家がないから連れてきた。」

「へぇ〜可愛いな。」

「こいつには手ぇ出すなよ。」

「お前のなんか?姫?」

「そう言うんじゃないけどこいつは俺が無理言って連れてきたからな。」
そんな。
私、無理に着いてきてなんかないのに。

「まぁ、総長が言うならいいけどな!君名前は?」

「あ、黒澤 佳凛です。」

「うん。佳凛ちゃん。俺は黄龍の副総長の新汰!よろしくな!」

「新汰〜!なにしてんの?」
そう言ってやってきたのは美女!
この人モデルかなんかかなー?めっちゃ可愛い…

「総長の女?」

「小百合違うよ。こいつは友達っつうか。まぁ、俺の拾いもんかな。」

「私は、そこの不良の新汰の彼女小百合。
宜しくね!女の子わいるの珍しいから嬉しいわ!」

「佳凛です。よろしくお願いします…」

「うん!敬語じゃなくていいよ!私高一だからさ。同じくらいでしょ?」

「は…ぃあ、うん。私も高一。」

「じゃ、俺は中にも挨拶してくる。いくぞ佳凛。」

「え?」
今、佳凛って言った?
す名前で呼ばれたの初めて少し恥ずかしい…

「いくぞ。」

「うん。 」

倉庫の中に入ると、男、男、男!
うわぁ、すごい。
学校ではあんまり誰とも、関わらなかったし、た特に男子なんて全然だったから少し怯んでしまう。

「大丈夫だ。俺がいるから。付いてくればいい。」
私が怖がっているのに気づいたのか、桜木が声をかけてくれる。
この人は、なんか、ほんと落ち着く人だな。
顔はちょっと怖いけど、でもしっかりしてる。