へたくそなキスのままがいい



「あれ、もう2人仲良しになったの?」


私と廉が一緒に現れたことに、その人は嬉しそうに笑った。


ここは、"フォルテ"という喫茶店。


一人暮らしを始めた頃から、私はここのバイトスタッフとして働いている。

いま私を呼んだ人は、店長のリョウさんだ。


「じゃあ、廉くんの指導は紗和ちゃんに頼んだ」

「えっ、ちょ」

「はい、わかりました」


にこりと笑ったリョウさんに、これまたにこりと笑った廉。


どうやらこの生意気な弟は、高校生になって笑顔を使い分けることを覚えたらしい。


……そう、廉は今日から、私と同じこの喫茶店で働くことになった。