へたくそなキスのままがいい



「紗和ちゃん、いつもそんなかっちり襟のボタン留めてたっけ?」

「っ、あー……、ちょっと気分転換?みたいな」

「ふぅん」


ジト目で見つめられて、冷や汗が出る。

廉のせいで、なんて言えるわけがない。


当の本人は厨房の中でリョウさんに何やら教わってるらしくて、いまこのホールにはいなかった。


「さっきの……廉クン、だっけ。知り合いなの?」

「え?あー、うん。幼なじみ。って言っても、たまたま今日3年ぶりに再会したんだけどね」

「へー。紗和ちゃんのこと好きで追っかけて来てたりして」

「っ、そんなわけないでしょ〜」