へたくそなキスのままがいい




────『紗和ちゃん、好きだよ。』


……あれは、私が一人暮らしをするために実家を出る日。


今よりも幼い……当時まだ中学生の廉に唐突に告げられたその言葉は、いまだに鮮明に覚えている。



全然意識なんてしたことなかった。


弟同然だと思っていた、普通に仲の良い可愛い幼なじみ。それが廉のはずだったのに。


目の前で耳まで赤くしてそう告げてくれた彼は、ちゃんと"男の子"で。


それなのに、私は。



『……それは勘違いだよ、廉』


彼のその想いに、返事をしなかった─────……。