へたくそなキスのままがいい



思わずその痛みの場所をバッと手で押さえる。


「"ユウクン"にバレないよーにね?」


その言葉は、どこか意味深で。


鼻歌でも歌いそうなくらいに、廉は先に上機嫌でホールへと戻って行った。



こっそりとロッカーに戻って鏡を確認すると、予想通りそこだけが赤く色付いている。


な、なんで。


急にその部分だけ熱がこもった気がして、ドキドキと心臓の音が加速する。


廉なのに。いくら成長したからって、あくまでも年下で、しかも高校生なのに。



「……せっかく、忘れてたのに」


あの日の、頬を赤く染めた幼い彼を思い出して、胸がキュッと締めつけられた。