へたくそなキスのままがいい



一方の私は廉に誘導されるがまま、その指差す方向へとひとまず歩を進めた。


……が。


「ちょっと、アレってなによ」

「……知らねぇよ。嘘に決まってるじゃん。紗和、バカなの?」

「ば……っ!?」


その厨房側まで行くと、ケロっとした顔でこの生意気な弟は悪態をついてきた。


ば、ばかって。


つくづく生意気だ。

おまけにさっきまで愛想がよかったくせに急に不機嫌になっちゃって、意味がわからない。


「紗和、こっち来て」

「は……、ちょ、廉?」


さらに厨房裏の物置まで引っ張られて、私は簡単にそこへ引き込まれた。