へたくそなキスのままがいい



するり、と。


廉の手が、再び私の腰を抱いたのはそんなときだった。



「……ちょっ、」

「紗和、アレ教えて」


ユウくんの方なんて見向きもせずに、廉はそう言って反対方向の厨房側を指差す。


ユウくんにだって、当然その手は見えるのに。

こ、こんな。人の前で……!


さりげなくその手を除けようとしても、意外にもしっかりと捕まえられていてびくともしない。


「ごめん、ユウくん。ゆっくりしてて」

「え?あー、うん。じゃあ、いつもの席もらうね〜」


ユウくんの視線が、やっぱり一瞬腰に向けられていた。


けど、彼の性格にしては珍しく何も言うことなく、ひらひらと手を振るだけ。