季節は移り変わって春になり、木々がピンク色に染まる 俺は正門に寄りかかって光達と話しながら、クラスが離れてしまった彼女を目で追っていた 彼女とは、一度も話したことがない "無" 以外の表情を、一度も見たことがない でも、それは違った 『ねぇ朔夜(さくや)!見て! 桜、すっごい綺麗だよ!!』 『あぁ、そうだな』 彼女はいつも笑っていた 幸せそうに微笑んでいた あの男のとなりで────────