あの男の、となりで




ハゲた担任が入ってきた少しあと、


艶々となびく胸の辺りまである髪で横顔を隠した、身長は平均的、そして握ったら折れてしまいそうなほど細くか弱そうな


いかにも華奢な女が入ってきた


だんだん静かになる教室


担任がカツカツと黒板にチョークを滑らせる音だけが響く




彼女は、黒板の前、教卓の隣に立ち


うつむいていた顔をあげる




俺の目に飛び込んできたその顔は、


化粧っ気のない艶やかな白い肌

小さなつぼみのような唇

ゆらゆらと揺れる、大きな瞳




やわらかな風が、彼女の前髪を少し撫でた




その時、俺は息をするのを忘れていた────