「あ、流れ星」


丘の上に背中を合わせて座る影がふたつ、その頭上に流れ星がきらきらと降り注いでいる。


背の低いほうの影から、細い腕がすっと空に伸びた。



「あのさ、もしかしたらヤヨの涙は、流れ星だったんじゃないかな」


満天の星空を見上げて、マナはぽつんと言った。美しいと悲しいは似すぎているから、だれも気づけなかったんだ。


「そうかな」


俯いたまま、カイもつぶやいた。どうしようもなくふたりにしか聞こえない声は、きっとヤヨのところまで届かない。


「ひとりで泣いていたとしても、ヤヨのすべてはずっとヤヨで、星じゃなかったよ。手の届くところにあったものを、ぼくたちは見つけられなかった」


背中合わせで触れ合っていても、ふたりだけの体温はやさしくならない。


ヤヨがいないせいで、足りないものだらけだ。わかっていたことなのに、ぽっかりあいた寂しさを埋められるぬくもりを探してしまう。


カイは、マナに顔が見られないことがありがたかった。