隣のアイツ

「早く離れてよ!あっちいって!!!」


そしてようやく離してくれた。


「あんまり嫌われたくもないしね、今日はもう帰るよ。またね、沙奈ちゃん!」


そう言い残して帰っていった。


またね、って…。
“また”なんて二度とないわよ。


一気に力が抜けてその場にペタンとしゃがみこんだ。


あれ…足の力が抜けて…立てない。


「こわ…かった…」


思わず声に出たその言葉は、私の本音だった。


あの男の前で弱ってるとこ見せたくなかった意地からか、急に1人になって怖さがでてきた。