隣のアイツ

「えっ、う、うん…」


何その声。
今そんな声出すなよ、圭太のくせに。


甘えるような、拗ねてるような声に聞こえた。


「沙奈」


「はいっ、え?」


お母さんもういないのに、沙奈って言った…?


「どうしたの、圭太…」


「今日、お前んとこの親は?」


「あ、有休使って2人で旅行いってるよ…」


「さっき天気予報見たら、夜中の方が雨風激しいし雷ももっと鳴るって出てたぞ」


えっ…それはきつい。
けど、帰るしかないもん。帰らなきゃ。


「ベッドに…丸まっておくから平気だし」


嘘。全然平気じゃない。
誰もいないんだもん、怖すぎる。
全部の電気つけてテレビつけて音楽流して…ってしとけばいいかな?