「綺麗な色ね。」
「うん。君に似合うと思ったんだ。」
「あら、私は似合うなんて言ってないわ。
それにこれは私には似合わないわ。」
「君に凄くピッタリな色だと思うよ。
気高く、美しく、可愛げのある素敵な色だ。」
「私は、色とは無縁な生活を送ってきたの。
おかげで、色恋沙汰に悩まされた事はないし、黄色い声援を浴びたことも、腹黒いなんて思われた事もないわ。」
「ただ、想像出来ないだけだろう。
君は、確かに今まで、
色とは無縁の生活を送ってきたのかもしれない。
でもこれからもその生活を送らなければならないわけではないだろう。」
「最もだと思うわ。
でももう、戻れないのよ。
私に色を塗れないの。全て弾いてしまうわ。」
「どんなに弾く素材だって、
根気強く同じ場所に塗っていたら色がつく日がくる。
僕がその役をするよ。
さあ、この素敵な色のネックレスを掛けて。
君にぴったりな、とても綺麗な色だ。」