2人から目が離せない、足が動かない。
私がいる場所は、水城君たちの少し斜め後ろの方。
女の人の背中が見えて、水城君の顔がよく見える。
多分、水城君は私のことなんて見えてない。
目があったとしても、私が前の席だってことにも気づかないだろう。
いつも、寝てるんだから。
「すんなら、もっと上手くしろよ。
そんなんだから彼氏にも逃げられんだぜ」
「ほんとに、生意気なガキね」
また、2人の顔が近づいて水城君が目を閉じる瞬間____
目があった。
そらせない、その瞳にとらわれる。
顔に熱が集まる。
あぁやだな、絶対、顔赤い。
目が細められて口角が上がって、
柔らかく、笑った。
「.......ショウ君?」
私は、思いっきり走った。
ずるいずるいずるい、
なにあれ、なにあれ
全力疾走。
***