「…そろそろだ、行くぞ」
新はそういうけど、だけどやっぱり行きたくないのが本音だった。
認めたくない、認められない。
「………はい」
重々しく言ったのは、一番隊から代表で七海。
どうやら、透花と面識があるらしく連れていくことにした。
どうしても行きたくなくても、
時間は目まぐるしく進んでいて。
どうしても逆らえない。
なんで透花が死ななきゃならないんだろう
なんで透花が選ばれなきゃならないんだろう
なんで透花はずっとずっと辛い思いを
しなきゃいけないんだろう。
神様なんて、絶対にいない。
だって、残酷すぎる。
.
『…最後の、お別れの時間です。』
重く重く言われて、透花に視線を移した。
これが、透花の顔を見る最後なんだ。
もう一度だけでいいから、
笑ってくれないかな。
「ねぇ透花ちゃん、手紙読んだよ?
1番嫌いなタイプだったって、僕傷ついたんだからね!
…僕、透花ちゃんのことすごいって
いっつも思ってた。あの総長を夢中にさせちゃうんだもん、ほんとに驚いた。
総長だけじゃなくて、僕たちにも透花ちゃんは必要なんだよ…っ、いつでも。
戻ってきていいからねっ…!」
そう言って一筋の涙を流す絢兎を見ると、
透花はやっぱり愛されてるんだなって思う。
戻ってきたらいいのに。