余命2ヶ月の少女は総長と恋に落ちる



「透花!」

総長という立場の蒼野は、忙しいはずなのにいつも一緒に寝てくれて頼みを聞いてくれる。

蒼野は、わたしのもっている袋に目を落とした。

「…随分沢山薬をもらったんだな」


…っ、バレてしまう。

袋は嬉しいことに少し厚手だから中は見えていないはず。


「この病院で両親が亡くなったから
お見舞いの品をもらっただけ」

…騙せただろうか。

「そっか、透花の両親亡くなったんだったな。兄妹はいる?」

「いない」

「じゃあ家族はいないんだな。
大きくなったら俺が家族になってやるよ」


"大きくなったら"

それがわたしには叶わないのだけど、
今はとりあえず嬉しくて、

「ありがと」

と返した。



倉庫に帰ると、いつもより賑やかだった。

だけどワイワイとしているわけではなくて、
ざわざわと。


ストレッチしている人もいて、戦う準備だろう。


「戦いに行くの?」

「あぁ、お前はお留守番」

「…行きたい」

「だーめ。危なすぎる」

喧嘩、見たかったな。


というわけで、わたしは1人で留守番をしている。