「透花!」
総長という立場の蒼野は、忙しいはずなのにいつも一緒に寝てくれて頼みを聞いてくれる。
蒼野は、わたしのもっている袋に目を落とした。
「…随分沢山薬をもらったんだな」
…っ、バレてしまう。
袋は嬉しいことに少し厚手だから中は見えていないはず。
「この病院で両親が亡くなったから
お見舞いの品をもらっただけ」
…騙せただろうか。
「そっか、透花の両親亡くなったんだったな。兄妹はいる?」
「いない」
「じゃあ家族はいないんだな。
大きくなったら俺が家族になってやるよ」
"大きくなったら"
それがわたしには叶わないのだけど、
今はとりあえず嬉しくて、
「ありがと」
と返した。
倉庫に帰ると、いつもより賑やかだった。
だけどワイワイとしているわけではなくて、
ざわざわと。
ストレッチしている人もいて、戦う準備だろう。
「戦いに行くの?」
「あぁ、お前はお留守番」
「…行きたい」
「だーめ。危なすぎる」
喧嘩、見たかったな。
というわけで、わたしは1人で留守番をしている。
