だけど、わたしは治らない。
「どうせ、治らなくて死ぬんでしょ?」
「だけど1日でも長く生きるにはそうするしかないんだ」
その1日は、わたしにはいらない。
「わたし、今死んでも構わないの」
そう言ったとき、何故か蒼野の顔が浮かんだ。
「どうせ死ぬんだから、入院なんてしない」
「…そうか、君が言うんならいい。
痛み止め、増やすかい?」
平和に生きたいのだ。
…驚いた、生きたいと思ったことに。
「増やしてください。」
沢山の薬を貰った。
痛み止めだけでなく、色々な。
1日どれだけ飲むんだろう。
「これ以上無理をするな。
…これを渡しておく。息がしにくくなったときに使うんだ」
渡されたのは、手頃なサイズの酸素吸入器。
重症患者だからと3つも渡されてしまった。
刻々と近づく死。
嬉しかったはずなのに、
今はほんの少し苦しい。
大きな袋を持たされて、LINEを送った。
